7〜50MHz Z-Matchアンテナチューナーの製作の1

先日書いた通りに、昼間国内が開けることが多い7〜50MHzを対象にしたアンテナチューナーを設計製作してみます。

まず、スペックはこんな感じに。

・チューン可能周波数 6.8MHz〜55MHz
・SWR測定はブリッジタイプ、LED表示でチューンとオペレーションの切り替え型
・リグ接続はBNC、アンテナ側は陸軍端子とM型(UHF)
・パワーはSSBで10〜20W PEP、CWとデジタルモードで10W
・バランスアンテナ(200〜300Ωフィーダー)対応
・↑のために、グラウンドのリフトと、出力インピーダンスの切り替えスイッチを準備
・大きさは100mmのタバコの箱よりひとまわりふたまわり大きい程度

その他、なるべく安く作ることと、金属ケースに入れることとします(QRPなので放射の漏れは軽いが、ノイズを拾いやすくなるのが嫌なので)。

部品の調達

ポリバリコンで安く手に入るのはアイテンドーさんでしょう。販売品のリストを見ると、266pFの2連/4蓮(FM付き)や、160pFの2連があります。それぞれ100円程度。タンク回路に160pF(18〜160pF)、ロードマッチングに266pF(30-266pF)を片側または2つ直列で使います。

SWR測定は50オームのブリッジを組みますが、それぞれを2W〜4W程度とします。酸化金属で100Ω/2Wとか、その程度のものを組み合わせて必要な抵抗値と電力を得ます。

コイルはカーボニルのT130コアを使いますが周波数帯域と巻線数などを考慮して#6材を使います。

回路は汚い手描きで恐縮ですがこんな感じ。

img_5587

タンク回路の設計
回路図に書いた定数は以下の通り:
T130-6コアに
一次側 7-5-7T(右がグラウンド)
二次側 2-4T(右がグラウンド)

一次側は、バリコンが2つ入った共振回路です。外側がロー側に共振、内側がハイバンドに共振します。2つバリコンがありますので、やや下に共振点が下がり、さらにロードマッチングのバリコンでも少し共振周波数が下がりますが、とりあえず無視します。(ZM-2チューナーでは、T130-2コアと266pFバリコンで3.45-12.57Mhz、8.46-30.85MHzの共振点設計で3.5-29.7Mhzをカバー)

バリコンはmax160pFの2連としますが、最低容量は9分の1として計算します(実際にはもう少し小さくなるはずです)

6.9MHz へ160pFを使って共振するのに必要なインダクタンスは3.42μHで、これに近い巻き数が19T(AL=9.6nH/Turn^2)=3.465μHです。

このインダクタンスで18pFだと20.15MHzまで共振します。

ハイ側は20-60MHzとしたいのですが、巻き数の関係であまり細かい調整ができません。

ハイ側18MHzあたりを下限とすると7Tで0.47μHで18.35MHz
22MHzあたりを下限とすると6Tで0.345μHで21.42MHzです。

それぞれで18pFだと、上限が54.72, 63.87MHzとなります。0.47μHだとギリギリですね。実際にはバリコンの最小容量はもう少し小さくなると思うので、その場合にはロー側の上限が上がりますから21MHz帯はロー側でカバーできます。そうなればハイ側は巻き数(タップ位置)を減らせますので、一旦この定数で作ってできを見ることにしましょう。

二次側は一次側の1/3程度が妥当のようで、また一次ハイ側に完全に重ねてコイルを巻く都合もあり、ハイインピーダンスを6Tとし、ローインピーダンスを4Tとして、2-4Tとします。

一次側のタップ位置は、二次側の2倍程度の巻き数が必要なので、グラウンド側から12Tまたは11Tあたりにタップが必要です。
ここではひとまず7-5-7Tとしておきます。

SWRブリッジのトランス
FT37-43でコンベンショナルトランスというかタップ付きのコイルというかオートトランスです。参考にしたZM-2の回路では3.5Mhzをカバーするのに5T-20T巻いていますが、今回は周波数が倍なので、巻線に必要なインダクタンスは半分程度で済むはずです。となると、4T-16Tか3T-12Tで良さそうですが、巻き数が少ないトランスは何か気に入らないので4T-16Tとします。

ダイオード、LED
このLEDは高輝度タイプが良いらしいです。またダイオードは汎用の高速スイッチング用で良いようですが、安い1N4148あたりを使うことにします。
電流制限用の抵抗はとりあえず1kΩとしておきます。必要であればブリッジに5W程度かけた時の開放〜ショートでの電圧のかかり方を見て加減します。

スイッチ
全部で4つ必要です。

バランスアンテナを捨てればグラウンドのリフトのSW2が不要でそのときは二次側のグラウンド側はグラウンドにショートします。

インピーダンス切り替えを捨てればSW1も不要でその場合には二次側を5T固定でも良さそうです。

またロード調整のバリコンは266pF片側のみでも良さそうなので、SW3も省略しようと思えばできそうですが、直列にできるようにしておくと耐圧で有利なので、とりあえずこの通りに。

SW4はブリッジを入れるかバイパスするかなのでDPDTのオン-オンタイプが必要です。
グラウンドリフトSW2はオンオフスイッチ。
インピーダンス切り替えSW1とバリコンの直列単体切り替えSW3は、それぞれオンオンタイプの切り替えスイッチです。

ブリッジ回路
このアンテナ端子をショートまたは開放してみるとお分かりの通りに、リグから見たインピーダンスが25〜75Ω程度になり、SWRで2程度以下に収まるのでファイナルに優しいのがポイントです。
一方で、オペレーション時(バイパス時)にも多少電波を拾うので、微かにLEDが点灯することがあります。高い周波数で顕著です。

次回は買出し用にBOM(bill of material)をまとめてみます。

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7〜50MHz Z-Matchアンテナチューナーの製作の1」への4件のフィードバック

  1. 一連の記事、一通り拝見しました。すごくわかりやすくて助かります。

    実は、だいぶ前に中華QRPチューナキットを買ってあり、そろそろ作ろうかなと思っているところです。当初はそのまま作るつもりだったのですが、Z-matchもいいかなと思って調べています。

    キット内のポリバリコンが、実測で約13-155pF + 13-70pFでした。266pF×2ならこの構成でワイドバンドがよさそうですが、キットのポリバリコンを使うとなるとそうもいきません。まぁ、バリコンを書い直せばいいのですが、それもなんだかな、と。

    付属のトロイダルコアがT106-2なので、16回巻き(3.46μH)で、6.9MHz(150pF)-23MHz(13pF)が現実的な気がします。もしくは、14回巻き(2.65μH)で、6.5MHz(220pF)-19MHz(26pF)、8MHz(150pF)-27MHz(13pF)あたり。結局は、この辺と同じです。

    http://www.qrpkits.com/files/BLTplusManualv22.pdf
    http://qrpguys.apps-1and1.com/wp-content/uploads/2016/12/multi_assy_120816.pdf

    ただ、これらは40-10mとなっています。バリコンが10pFまで下がることを想定しているようですが。実際に作って確認してみます。いつになるかわかりませんが^^;

    一つ教えて下さい。上に挙げたようなキットでは、コイルの二次側のインピーダンス切り替えはそれぞれ独立に巻いていますが、JNFさんの回路ではタップ切り替え式ですよね。独立とタップとどういう違いがあるでしょうか?

    よろしくお願いします。

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    1. あまり深く考えていませんでしたが、アメリカでは平行フィーダーがまだ人気で、その時によく使われるターミナルのオスメスがあるそうです。それを使うとなるとスイッチよりもターミナルで使い分けるのが楽そうに思います。また、多少平衡性もよくなるかもしれませんね。
      私は平行フィーダーを使うつもりはこのチューナーではなかったので、端子が一組で済むスイッチを使う事にしました(そういう回路例を見たこともあります)

      タンク回路のバリコンの効き具合ですが、負荷インピーダンス調整のバリコン(送信機のホット側から共振回路に行く途中に直列に入るバリコン)が、例によって負荷に並列で入りますので、上の方は余裕をもって設計した方が良いと思います。
      ZM-2では確か3.4-10.3と9.8-30Mhzくらいで設計してあるようで、10MHzはロー側ハイ側両方でマッチングが取れます。取説では両方でマッチングが取れる時はロー側を使って(トロイダルコアの全体を使って居る方)くださいと書いてありました。

      また海外の作例では3.5-30MHzで設計した回路の外側のバリコンに並列に約3倍くらいのキャパシタをスイッチでつなげるようにして1.9MHzにも使った例を見たことがあります。

      コアはローバンド重視ならT型番の#2で、ハイバンド側なら#6が良いと思います。共振回路が飽和するとNGのようなので、可能な限り大きめのコアを使ってください。

      測定器があって実験されているVAJさんのブログは楽しみにしています。いつも茶々いれてすみませんhi

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  2. ありがとうございます。二次側をタップにしているのは特に大きな理由はないわけですね。平衡―不平衡についてはスイッチを付けようかと思っていますが、それでもBNCコネクタだけでいいかなと。ワイヤを繋ぐ場合には、BNC―ターミナルのアダプタを使えばいいし。キットのケースがそんなに大きいものではないので、場所がなさそうで。

    コアについては、#6の方がいいのかもしれませんが、これもキットの部品のT106-2をそのまま使おうかと。

    それと、VCが150+70pFという構成で同容量ではないためシンプルなBLTの構成でと考えていました。でも、コイルの内側外側が別々に動作することを考えれば、VCの容量が同容量である必要はなさそうですね。巻数との組合せで上手い具合に広帯域化できるかもしれない気がしてきました。頭を捻ってみます。

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