沖縄の電離層とMUFのセカント法則

普段、Es(スポラディックE層)を期待して50MHzをワッチに行くかどうか考えたり、夜、どのバンドに遊びに行くか検討するときに、NICTが出しているイオノグラムの報告を観に行きます。

http://wdc.nict.go.jp/ionog/ionogram/nowpng/allsite.html

もちろん、Esが出ていてもそこにつながるという訳でも無いのですが、Esがどっちに動いていてどのあたりにいるかを推理しながら考えるのです。

たとえば先ほど見に行った、今日の深夜の国分寺での測定はこんな感じです。

ionogram説明

 

私が理解している範囲でこのグラフの見方をさっくり説明するとこんな感じです。

ionogram説明記号入り

まず、これを書いているのは5月末ですから、初夏の電離層の状態です。日夜問わずEs層がある程度発生しています。冬場の日中に見ると、D/E層も観測できます。

強い電離層(あるいは厚い電離層)は、測定の時にエコーが発生して2倍・3倍などの高さにエコー像が出てきます。季節や時間帯などによってはF層のエコーも見えることがあります。

最近稚内の測定装置が故障しているようなので比較の図を入れませんでしたが、関東と比べると稚内は10MHz以下の範囲などで測定される電波の強さが弱いのです。これはノイズが少ない環境だからだろうと踏んでいます。

この測定の時には、以前は真上に電波を発射して反射を測定していたそうですが、最近は斜め上に入射させるのだそうです。

さて、これを見ていると、特に沖縄あたりでとても強烈なEsやF層が発生することがあります。もちろん、関東や九州、北海道の測定データでも発生するのですが、沖縄での頻度は他を圧倒しています。

okinawa

これ↑は5/20の午前中の強力なEsが沖縄に出ていた時です。18MHzあたりまでは割とはっきりと約100kmのところに反射があるのが見て取れます。上は25MHz近くまでいっています。

同じ日の午後はこんな感じでした。

afternoon

Esが弱めになり、各地でF層が観測されています。このあともう一度Esが強くなって、今度はさらにF層が強くなって「臨界周波数」が高くなりました。

臨界周波数というのは、90度に電離層に電波を入射させたときに反射されるかされないかの境界の周波数の事です。

ちなみに今年1月の中旬の沖縄ではF層がこんな具合でした。

OK426

お昼頃ですが、D/E層の上のF層がかなり強くて、臨界周波数が15MHz近いですね。

 

こんなんを見ていると色々空想したりもします。地面に置いたダイポールで沖縄では50MHzのEスポ使って九州と交信できるんじゃないかとか。

そこで思い出すのが、多分上級ハムの資格を受験された方は一度は覚えたはずのセカント法則です。


ただし

θは鉛直(垂直)を0とした電離層への入射角です。

50MHzの電波がこの臨界25MHzのEs層で反射されるには、cos θが0.5, つまり60度で入射すれば良いのですが、この時Esのみかけの高さを100kmとすると電波の発射点から反射点までの水平距離は√3倍になるので約170km、つまり340kmとなります(地表の曲率を無視してます)。

つまりEsの反射で350~400km程度離れたところと50MHzでQSOできちゃうんですね。
ここでこのF層が15MHzあたりまで臨界があがっている状態を考えると、こいつで50MHzが反射されるためには、sec θ = 3.4 ですから、約73mう度です。つまり大地からのテイクオフ角度が17度になるようにビームアンテナなどで電波をぶつけてやると、沖縄のこの電離層(1月のもの)は50MHzを正規反射で反射してくれて、一回の跳躍で2000kmも跳ねてくれることになりますか。(300 x tan(arc cos (3.4))がおおよそ1000程度)

実際には曲率があり、多分等価半径で考えても1000km離れたところからこの角度はきついかもしれませんが、50MHzでヨーロッパまで飛んだりするときは、こういうF層の反射数回と、その途中でEsが運良く発生してうまく跳ねてくれたりする必要があるんでしょうが、とんでもない偶然が積み重なっているんですね。

無線運用してて意外に使えるのがこのセカント法則の式なんですよねw

あんまり受験の参考になるかどうかはわかりませんが、ひさびさに多少は受験に関係あるネタなのでカテゴリーは「1アマ」「受験」としておきます。

2016.4の一アマ工学問題を見て

(もし2017年4月以降にこれをお読みになる方は、日無のサイトから問題と解答がなくなっていますが悪しからず)

先日行われた工学の試験問題を眺めてみました。(法規はパス(笑))

http://www.nichimu.or.jp/kshiken/siken.html

さっと見た限り新問はなさそうに思いますがどうでしょうか。

いやらしい問題は、定義うろ覚えだと悩むA1とA25, 選択肢次第でどちらとも回答できかねないA14,混変調と相互変調と紛らわしいA16くらいかなと思いました。(新規問題があったらすみません、忘れている問題もあります)

また、確か去年新規で出たパズルの様な抵抗ネットワークの合成抵抗の問題がありましたが、誘導がついているので、それを追いかければ正解しやすいはずです。

A1は私の嫌いな磁界の定義の問題です(笑)。その場で考えると、球の表面積が 4πr^2なので磁極の16πを表面積で割って 16π/(4πr^2)=1, r=2としてしまいそうです・・・がこれでとりあえず回答はあっているようです(ほっ)計算方法これでいいかはおいといて。(おい!)

A25は計器の精度1級の定義を覚えておけばオーケー。こういう定義は試験直前に確実に頭に詰め込みましょう。

A14ですが、中間周波増幅の役割です。ここには中間周波トランスを同調回路にしたり、別途フィルターを設けたりして選択度を稼ぐのですが、どの選択度かというところが悩ましいですね。近接信号の選択度もあがるし、また、イメージ混信に対する選択もこの中間周波増幅回路が高周波増幅の特性と一緒に決めています。(たとえば、目的信号をf0, 局発をfLとして fo-fL, fo+fLが近い場合はここのフィルターの特性が悪いと落としきれないことがあり得ます。ただ、

(以下追記)イメージ混信はIFをfI、局発をfLとして、fL+fI, |fL-fI|の二つの周波数を受信してしまう混信で、一般には高周波増幅などの回路で選択度を稼ぎます。fIが低い場合には中間周波増幅も聞いてこないともいえないのです。たとえばfL=900khz, fI=22kHzとすると受信周波数は922kHzと878kHzになります。これはあえて中波の帯域を選んでみましたが、878kHzを受信したいとして922kHzは44kHz離調しているだけ。922kHzは66kHzに変換されて落ちてくるのですが、これがイメージ混信になるか近接混信になるかです。こう考え出すと切りがありません。(最近の受信機だとまじで中間周波数が低いのありますよね) 問題でどれくらいの選択度があるイメージか書いてくれればいいのに。ともかくイメージ混信は混合前で選択度を上げると覚えておいて良いでしょう。

この問題の場合は選択肢でAの「混合器」とCの「向上」の組み合わせが一つしかない(選択肢4)のでそれを選べばOK。

A16は迷うとしたら1番と3番です。混変調は妨害1波で起こり、相互変調は妨害波間での和・差の話ですので、定義をしっかり覚えておく以外なさそうです。

 

さて、受験された皆さんはいかがでしたか?

私は毎回一応問題を眺めて「まだ解ける」というのを確認するようにしています(汗

必要無い方には忘れて良い知識かもしれませんが、持っている資格の試験問題はいつでも解けるようにしておきたい、と思っています。

1アマ2アマの問題集

3,4アマ向けは市販のものも結構あるのですが、上級向けの問題集は、書籍として販売されている問題集はさほど種類がありません。

CQ出版の過去問の問題集(2年に一度改定)か、精選400題のいずれかになるでしょう。準問題集としては、精選400題と同じ出版社から、計算問題の攻略と、優しく学ぶ何とか、というようなものが出ているようです。

参考書としては、CQの工学の解説とか上級ハムになる本、要点マスターなど。ちなみに上記の精選400なども参考書になります。

その他、定番の勉強サイトがありますので、そのようなサイトも参考書になります。

やみくもに本を読んでも、試験の対策にはなりませんが、かといって過去問丸暗記も如何なものかと思います。

お勧めの学習法としては、数ヶ月〜半年程度の期間が必要になりますが、次のようなステップを経て学習を進めるといいように思います。

  1. 現有資格の勉強の復習…今持っている資格の学習に使った参考書や要点集で軽くおさらい。法規は効果的ですし、工学も基礎的な事項を確認できます。
  2. 上級資格の要点の確認…参考書を全部読むと飽きるし時間も足りませんから、要点マスターの様な本をさらりと流して、どの程度理解できるか確認。法規はここで知らない分野を確認しておいてください。多分、通信規則や予備免許、電波防護などかありがちです。
  3. モールス符号の学習の開始。普段使ってない方や、ペーパーの方は、一二ヶ月かけて、モールスを確実に覚えてください。
  4. 計算問題や回路系の問題が苦手なら精選400や計算問題の攻略で集中して学習、必要に応じ、参考書をみてください。法規はまだ突き詰めなくてOK。交流回路やデジタル、または自作が得意で回路が読める方ならこのステップは要らないかも。
  5. CQの過去問問題集やネット上の過去問サイトで過去問総当たり。法規はこの段階から要点をまとめて、本番数日前までに暗記。工学も法規も、何度も間違える部分は、最終暗記用に書き出して暗記リストを作ってください。回路系の問題は解くのに時間がかかり、また、反復が必要なので、この部分だけは、他と並行してなるべく毎日、回路系の計算問題に触れる様にしてください。
  6. 本番前1週間〜数日前から前日までは、暗記リストを眺めつつ、過去の一回分の試験を毎日1,2回分模擬試験の様に受けてみてください。
  7. 当日は、作成してある暗記リストを電車や会場でさらりと眺めてください。

過去の試験問題ですが、時折、一回分の試験(H26.4とか、そういう一回分)を解いてみるといいでしょう。目標は、9割正解です。また、どれ位時間がかかるかも測ってください。

過去問が9割解ければ、悪くても本番で7割解けて合格点に到達します。

0.9(過去問が9割正解できる) x 0.9(過去問の9割を解ける) x 0.9(本番で、実力の9割を発揮できる)=0.729

無理に短時間で解く必要はありません。ただし、過去問を自宅で解いて7割しか解けない場合はいくら時間をかけても、多分かなりの高確率で合格点に届かず、受験料が無駄になりやすいです。

安全圏は過去問を9割正解ですが、本番でミスが少ない自信がある方は、8割で何とかなるでしょう。

満点を取る必要はありませんが、満点を取るくらいの気持ちで準備して9割というところだと思います。なるべくハードルは高くしておくといいでしょう。

「1アマ 問題集 最強」という検索語

そんなのありませんから。

どれだけの時間がかけられるか、どの程度現状で理解できているか、によって使うべき問題集は変わってくるでしょう。

多分、H28年度4月期まで、あと2週間位ですよね?

今からやるのなら、法規はCQの問題集で過去問網羅のやつ以外ないでしょう。法規は1日2時間で1週間もあれば一通り終わるはずです。

問題は工学。

正直、あと10日とすると工学は厳しいです。計算問題とか式を変形しなければならない問題は捨てざるをえないでしょう。公式を覚えて済む問題だけ相手にしてください。

400題精選なら1日20問マスターすれば工学は10日くらいで終わるはずです。計算問題を捨てるとなんとかなるかも。
悪いこと言いませんから、もっと前から準備して、精選400を1、2回回して、その後でCQの過去問問題集を全部解いて見るといいと思いますよ。

3アマ・2アマ・1アマの国試法規の勉強

工学の場合は、少しずつ難しくなっていきますから、3アマで基礎をしっかりマスターして、また、学生の頃に勉強したはずの方程式の解き方とか三角関数、できれば積分なんかも思い出しつつニアマ、一アマと段階的に計算問題をマスター。そして回路系の勉強を進めていけば合格できると思います。

さて、法規はどうでしょう?

昔の電信級の頃は通信規則の内容は含まれていませんでしたが、今の3アマには一応含まれています。上級で新たに出てくる話としては、多分、予備免許の話くらいではないかと思います。問題のレベルとしては2アマと1アマはほぼ同等で、3アマは選択肢などが正解しやすく設定されているように思います。

電波法令抄録などを毎日読むというのはちょっと退屈かもしれません。基本的には過去問を繰り返して出題範囲の内容を覚えていくのが効率が良いと思いますが・・・あえて書くなら以下の点を注意すると良いと思います。

  • モールス符号は完璧に覚えること・・・Q符号や送信手順にモールス符号を絡めている問題もありますし、そもそそも通信術の代わりに出題される電文と符号(もしくは符号と電文)の対応の選択は、出題数が結構多いので、モールス符号を確実に覚えるだけで大きな得点源です。私はまだ頭が柔らかい中学生の頃に2週間くらいかけて符号を覚えました。何文字かずつ覚えていって、一週間くらいでとりあえず頭に一通り入り、それからは学校の英語の教科書とかで目に付いた単語や文章をゆっくり符号に直していったりしたものでした。そのかわり受信練習をしっかりやっていませんから、未だに以前の1アマの欧文の速度を超えていくと聞き取りが怪しくなっていきます(苦笑
  • 非常通信や、無線機の調整、QSXなどの(比較的特種な)送信手順の暗記・・・実際に行うことがなかったり、あるいは普段は手順からちょっと離れたやり方になっているかもしれませんが、この辺りの手順も毎回良く出ます。結局暗記するしかありません。少しずつ覚えて行き、試験の直前3日前くらいに暗記を完璧にすると良いでしょう。
  • 手続き関連は、いついつまでとか、必要な書類など、また局免だと免許状記載の項目が「指定事項」かどうかなどをしっかり覚えてください。他には落とし穴ですが罰金などの罰則についても覚えると良いでしょう。
  • 検査や点検についても落成検査のほか、電波の質に関しての検査などもあります。
  • 用語の定義や数値の暗記・・・法定(あるいは規則に定められた)数値がいくつか出てきます。たとえば電界強度・免許が要らない無線設備の出力・高圧とみなす電圧など。また落とし穴としては無線局とか電話の定義など。ほんとに覚えることばかりです。
  • 免許の範囲と例外・・・非常通信災害通信などで、指定されている事項の範囲を超えた通信を行うことができます。その条件と、何を逸脱して良いかなど、しっかり覚えてください。
  • 通信規則は、英語が得意な方でしたら、原文を一度読んでみてください(法律系の書き方なので読みづらいですが)。今の日本語訳は正直、理解しがたい内容が多いです。また他国の管理下にある違反局についての報告など、1アマではチェックポイントだと思います。
  • Q符号は、普段フォーンばかりの方は念のために良く出るものを再確認しておきましょう。特に了解度とか空電の度合いを示す数値など、普段使っていないので迷うことがあるかもしれません。そのあたりをしっかり覚えてください。

結局、法規は、いきつくところは手順や定義の暗記です。無線を実際にやっている方なら普段の通信で確実に答えられる問題は少なくないはずです。

1ヶ月もあれば過去問は覚えられます。モールスも確実に覚えるにはそれくらいはかかります。時間さえかければ覚えられます。しかし、試験の何日も前に暗記量のピークをもってくると、本番までに忘れてしまうかもしれません。

他に法規のような暗記で済ませられる工学の内容(たとえば法則の名前とか、デバイスの記号や特徴、メーターにつける原理の記号など)は、直前に詰め込んでいけばなんとかなります。

直前までに覚える量を見て、余裕をもって、かつ試験の直前に暗記状態のピークが来るように計画してください。

 

4月の試験まで、あと1ヶ月ないと思いますが、最後の追い込みを効率的になさって、是非1ランク上の資格を取得されるようお祈りしています。

「1アマ、試験、接地抵抗の計算」という検索語

1アマの工学の試験に出ることがある接地抵抗の測定の問題があります。

測定対象のアース棒の他に補助アースを2本打って、3本のアース棒のうちの2本の間の抵抗を測って、それらから測定対象のアース棒の接地抵抗を計算する問題です(アマチュア的には補助なんていわずそのまま使ってもいいように思いますけどね)

これは計算式が公式として示されている参考書もあると思いますが、原理はとっても簡単です。

理想の接地は抵抗0オームと想定して、現実の接地にはそれぞれのアース棒毎に抵抗があるとかんがえます。

接地抵抗

上記でRが本命、R1,R2が補助接地とします。下向き三角は理想的な接地と考えてください。つまり下向き三角はすべて抵抗0オームで接続されています。

いま、R-R1の間の抵抗を測定すると、これは r + r1 を測定したことになります。仮にm01としましょう。

同様にR-R2をm02, R1-R2をm12とすると

r + r1 = m01

r +r2 = m02

r1 + r2 =m12

という連立方程式が出来ますからこれを解けばオーケー。

結果だけ書くと、r = (m01 + m02 – m12)/2  です。

デシベルだけわかっても1アマは遠いのでは

たまにこのブログに来ていただいた方の検索語を自分でもグーグルに入れて検索してみる事があります。

大体はデジタルモード関連の検索語が多いのですが、1アマ受験関連でいらっしゃる方も確実にいらっしゃいます。

先ほどそれで検索してみたら、kindle版の自家製参考書を推薦するページが。それがデシベル計算に主眼を置いた参考書でした。

そのkindle本は拝見した事がありませんが、1アマの無線工学でデシベルが出てくるのは、利得計算の部分だけなので、増幅関係と空中線の部分位です、確か。

デシベルはあくまでも「何倍」というのの言い換えなので、その変換計算方法だけを学んでも実は不十分で、その後ろにある増幅回路とか空中線関係の知識を学ぶ必要があります。

デシベルという視点で出題範囲を捉えるというアプローチは斬新ですが、それだけではちょっと足りないかな…

そういえば2月なので

上級アマの国試の受付始まってますね。

四月期受験の方、頑張ってください。

計算問題や回路系の問題で、特に複素数関連はこれから毎日でも練習した方がいいです。

2アマ受験の方も、できたらインピーダンスなどの複素数表記と計算には慣れておくといいですよ。1アマ受ける時に役立ちます。
健闘を祈ります。