先月に続き、発売日繰り上がっての発売です。
余談ですが、これまで、自宅そばで雑誌を買うときによる本屋が二軒ありまして、1つが最寄駅、もう1つが隣の駅でした。散歩しながら隣の駅の本屋に行くと、なんと!今月頭で閉店です。寂しい限りです。そこから最寄り駅まであるいて駅前の本屋で購入。
さて、今月のCQは…まず、いきなり釣りドルミッチーの上級挑戦の話。いきなりですか!計画の立て方など参考になるかもしれません。私の場合も似たような段階で準備しました。ただし、用語や思い出しのためには、一アマ用の要点集を使いました。
あと、勉強法に出ていませんでしたが、工学の場合は、解き方をそのまま覚えるよりは、まず、仮説を立てて、その仮説に基づいて問題を解けるかどうか確認する、ということを意識するともっと良いと思いますよ。
また某フリラーユーチューバーのビデオでおなじみのゆーにゃん嬢も試験受けたんですね。
JT65の連載はやっとソフトのセットアップの話になりました。また、経験談のOMさん、確かQSOいただいたことがあったような…
そして今回のCQ誌では、二箇所でSCU-17のFSKキーイング出力ポートを使ったCWの送信の話が出てました。CWだけならキーイング部分だけで作れますから、外付け別インタフェースが良さそうです。
アプリによって基準のオーディオ信号レベルが違うので、リグのデータ入出力端子は、実は複数にパラに分けたり、ミキサーでレベル調整したり、複数のオーディオデバイスに分けるのが良さそうな気がします。
さて、今月のケチですが(笑)、これは筆者の方の問題ではなく、元の英文を訳された人の問題なのですが…前から気になっている訳文の話となります。
AM通信へのお誘い、今回はパラオへの遠征のお話でした。T8からはJAの諸OMがオンエアされることも多く、私も何局かの方にサービスしていただいたことがあります。
今回の記事では、太平洋戦争での日米の激戦の地、ペリリューのお話が出ています。一部の方の間では有名な「ニミッツの言葉」ですが、出典を私は知りませんが、それはさて置き、この英文の日本語訳が、実に分かりづらいのです。
今回の記事では訳文は以下の通りです。
諸国から訪れる旅人たちよ、この島を守るために日本軍人がいかに勇敢な愛国心をもって戦い、そして玉砕したかを伝えられよ
この「伝えられよ」が日本語としてこなれていないので、訳文だけを読むと意図を誤解しやすいのです。
英文を見ると
Tourists from every country who visit this island should be told how courageous and patriotic were the Japanese soldiers who all died defending this island.
となっています。
まず、この文の形式的な主語はTourists from every country who visit this islandです。長いからひとまずTouristsだけに短縮します。
そして、この文の動詞は、助動詞も含めてshould be toldです。受動態なので、本来は文の意味上の主語がどこかに必要ですが、それがありませんね。仮にですが、意味上の主語は、「ペリリューの島民」や「ペリリューに眠る両軍の御霊」とか、「当時の戦闘を知る者」なのかもしれません。余談ですが、日本人が英作文すると形式上の主語はあっても意味上の主語がない受動態の文を書きがちと言われています。受動態と能動態は基本的に相互に書き換え可能ですから、英作文するときには、能動態で書くとどうなるかをなるべく考えると良いと思います。この文ではそのような意味上の主語がないので、少し英語らしくない気が個人的にはしていますが・・・
続いてのhow以下はtellで伝える内容です。長いのでwho以下を省略して文を簡潔にしますと、how courageous and patriotic were the Japanese soldiers となります。
文に戻すと
Tourists should be told how courageous and patriotic were the Japanese soldiers.
と、見通しが良くなりました。さらに、倒置されている部分を普通の語順に直すともっとわかりやすいです。
Tourists should be told how the Japanese soldiers were courageous and patriotic.
さて、この文を見てお分かりの通り、この文はtell されるべきだ、と言っているのです。つまり、「話を聞かされるべきだ」ということです。
確かにtell自体には「伝える」の意味がありますから、日本語の受動態風に「伝えられる」でも良いかもしれませんが、文の意味上の主語が明記されていないので「伝えられよ」では、依頼の形の命令文と誤解される恐れがあります。もし、他で話してこいという意味ならば、should be toldではなくshould tellになりますね。
なので、仮定法的に「当然の如く〜されるだろう」とか「〜すべきだ」と訳す方が元の文のニュアンスに近く、誤解されづらいと思います。
結局は、このニミッツの文は、(アメリカ軍がこの地を勝ち取ったが、)敵の日本軍がどれだけ果敢で手強かったかを聞かされたらいい、と言っているのです。
それなのに「伝えられよ」の部分が曖昧なまま、この訳文だけがいつの間にか一人歩きをしてしまい、さらには原文にない日本語の言葉が付け足され、「日本に行くことがあれば伝えられよ」と命令文(依頼文)に変節してしまっているのが、以前から気になっていることです。
もし、私が訳すなら
諸国からこの島を訪れる旅人たちは、この島を守るために戦死した日本兵がとても勇敢で愛国的であったかを当然聞かされるだろう。
とでもなりましょうか。
そして、この一文の前後には、明記されていませんが「我々アメリカ軍はそんな相手を打ち負かしたのである」とか、「この島を取るための米軍の被害が大きかったと、私を非難する人がいるかもしれないが」いう内容を示唆していると思います。
何年か前にアメリカで作成されたPacificというミニシリーズ的なドラマがありました。その中でも取り上げられていた通りに、ペリリュー島はアメリカに取っても大変な激戦地という認識なのは間違いないようです。(日本に取っては、ガダルカナル島の消耗戦の方が象徴的かもしれませんが)
長くなりましたのでこの辺にて。
追伸:
もし、このニミッツの文の原文出典とかその前後のパラグラフなどをお持ちの方がいらしたらコメントなどで私宛にお伝え下さるか、資料の在所へのリンクなどをお知らせ下さると幸いです。
追伸の2:
このニミッツの出典、Wikipediaのペリリューの戦いにもやはり出典不明とあり、それを追った内容が出ています。どうやら激戦であったことを古代ローマかギリシャあたりの出来事になぞらえた新聞記事があり、その出来事に関連した詩があって、その文章の訳にひっぱられているようです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9A%E3%83%AA%E3%83%AA%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%81%AE%E6%88%A6%E3%81%84
“Go tell the Spartans, thou that passest by,That here, obedient to their laws, we lie.”
「旅人よ、行きて伝えよ、ラケダイモン(スパルタ)の人々に。我等かのことばに従いてここに伏すと」。
この英文の場合は Go tell だから「行って伝えてくれ」で正解なのですが。