FT891のスペックを見る

相変わらず八重洲の日本語サイトの方には情報がありません。

そこでUSの方のサイトです。

http://www.yaesu.com/airband/indexVS.cfm?cmd=DisplayProducts&ProdCatID=102&encProdID=DF4DB262968932E999EAF928B5B6A1A7&DivisionID=2&isArchived=1

まずリグのカテゴリーとしてはモービルHF機です。最近大人気のICOM IC-7300の様な固定機のエントリー機ではないということに留意です。

筐体の大きさはノブなどを除き

  • FT857 155W×52H×233Dmm
  • FT891 155W x 52H x 218D mm

 

ですから、大きさはほとんどFT857と同一です。

 

ルーフィングフィルターが3kHz

これは固定のエントリー機であるFT450Dよりも上のスペックです。FT450DはFMでも共用の15kHzなんですよね。最近は周波数が高い方でも割と狭いフィルターが出来るようで、その辺の技術の進歩なのかもしれません。

K-3の頃くらいから、ルーフィングフィルターを狭く、またシェープをよくするために、いわゆる「ダウンコンバージョン」タイプの構成となるHF機が高級機中心に多かったようですが、ひょっとすると今後はこの方向でルーフィングフィルターの性能があがれば、いわゆる「アップコンバージョン」でもいい性能が出るようになるのかもしれません。

 

アップコンバージョン:第一IF69.450 MHz / 第二IF450 KHz

最近はアップコンバージョンとダウンコンバージョンの定義が少し曖昧で、昔は受信周波数の下にコンバージョンするのが「ダウンコンバージョン」でしたが、最近では「クリスタルフィルターで良い特性のものが作れる低めの周波数の帯域」にコンバージョンするものが「ダウンコンバージョン」と呼ばれたりしています。

一方でアップコンバージョンは、PLLなどが普及してからのIFの構成では、広帯域化がしやすい60〜70MHzあたりに持ち上げるものを指すことがアマチュア無線用のリグでは多いようです。

そしてこのFT891は第一IFが70MHz近い構成です。この周波数で3kHzのモノリシックのクリスタルフィルターを入れているのだろうと推測します。

FMではダブルコンバージョンとなっており、SSB/CW(/AM)はトリプルコンバージョンです。IF段はDSPになっているようなので450kHzのIFを多分50kHz近くの周波数でサンプリングしてIF処理しているものと思われます。

FMの場合に混信除去で何が使用可能かが不明です。ただ、FMの場合はせいぜいIF帯域をナローにするくらいしか方法はありませんので、DSPは音質調整くらいかもしれません。

 

お値段から考えると

あの筐体で100Wにも対応しているのですが、FT817の初期ロットでファイナルが飛び易い傾向があったらしいので、しばらくは注意が必要かもしれません。

お値段が定価で10万くらいではないかと想像しますが、USB接続でデジタル系の接続は一発完了ですから、デジタルモードの入門用としても悪くないかもしれません。

ただし、パネル面がFT857/FT817とさほどかわらないので、DSP機能などを細かく調整したい場合は、外部のコントロールアプリを使う方がよさそうです。

ただ、バッテリー内蔵は無理っぽいので、FT817を置き換えるような用途には使いづらそうです。QRPはそれなりにアンテナに投資しないとかなりつらいので、入門用としてFT817を考えていた人には朗報かもしれません。

八重洲のFT-891という機種が発表に:【追記:プロモーション動画】<デイトン・ハムベンション2016>JVCケンウッドはD-STAR+APRSハンディ、八重洲無線はFT-891を参考出品!! | hamlife.jp

デイトンで八重洲の新機種、FT-891が発表になりました。

hamlife.jpさんから画像借用です。

情報源: 【追記:プロモーション動画】<デイトン・ハムベンション2016>JVCケンウッドはD-STAR+APRSハンディ、八重洲無線はFT-891を参考出品!! | hamlife.jp

 

さてパネル面を見ると、最近出たC4FM/Wires-X対応のモービル機のFTM-100にそっくりです。かつ、FT857のダイヤルやスイッチ配置の雰囲気も残ってます。

FT991がFT897の後継で、FT891がFT857の後継のようです。FT817の後継は多分FT791とでもなるんでしょうね。

スイッチの配置を見ると、どうやら操作性はFT857/FT817と同一系統の操作になりそうです。メニュー/Fボタンで機能をパネル面に呼び出して、全面にあるダイヤル/ノブで数値を切り替えたり、LCD下部のスイッチでon/offまたはselectしそうです。

モービル機という位置づけならパネルが小さくなるのは仕方ないかもしれませんが、CATで外部からコントロールしない限りは、混信除去機能などを使いこなすのは結構つらそうです。

FT857は経験がないのですが、FT817だと唯一に近い混信除去機能の”IF Shift”はCATによるコントロールには対応していませんでした。

今回は例によってSCU-17相当の機能が内蔵されているようですからCAT制御とかデジタルモード対応も気合いが入っていると期待します。・・・といっても多分この機種は買いませんが・・・

 

さてさて、気になるのは先に書いたFT817の後継機種です。

唯一無二だったFT817にはエレクラフトのKX-3/KX-2という、似た領域のリグが出てきました。FT817の方が頑丈そうで、かつ430MHzに対応しているところがある意味使いでがありそうですが、電池の持ちとか受信性能はKX-3の方が良かったのですよね確か。また操作性もKX-3の方が良さそうです。

FT857->FT891では操作変わらず、バンドが削られてしまいましたが、FT817の後継は出来ればバンドを削らず、電源接続で10W/バッテリーで5Wとか、パネル設計を工夫してツマミを増やすとかで操作性に気を遣って欲しいです。