QR-666/R-300で使用されている2SC460Bを2SC1815-Oで置換する検討

Ic=1mAの時、C460BとC1815-OのfTは相当違うのですが、fT-Icのグラフを見ると次のような感じです

C460…230-1mA, 340–5mA, 350-6mA

C1815…125-1mA, 300-5mA, 330-6mA, 530-40mA

と読み取れるので、C460Bの方が5〜6mA位Icを流している回路なら、バイアスを調整するとC1815-Oで置換できそうです。

まず、R-300の局発のバッファ回路(Q2がC460B)

そしてQR-666はというと…

…バッファ周りは同じですね。局発の振幅は、多分2Vpp位だと思います。

まず、C460Bの回路を見ると

トリオの回路図、ところどころ電位や場合によっては信号レベルが書いてあるのでこういう時に便利です。エミッタフォロワのエミッタ電位からIc=4.7mA、fT=340MHzあたりと推定。ベース電流Ibは(8-2.9/100k=51uA、そこから推定すると設計で使われたC460BのhFEは4.7m/51u=92位です。このトランジスタの取り外したものでここまでhFEが高いのは見たことないですね、70あれば御の字です。

C1815-Oは…

GRランクは今はセカンドソース品ばかりで、-Yや-Oは、まだ探せば東芝のオリジナルがありますが、hFEが小さいOランクはGRに比べるとちょっと値が張ります…とはいえC1675Lだと40〜50円するので、それよりは汎用品として作られた1815は流通量も多くて値段安めです。

C1815-OのhFEを105(OランクはhFE70〜140)とし、Icとして6mA流すことにします。エミッタ電位を揃える様にすると…R4,R5を求めてE24系列で近い数値にするとR4=91k、R5=360となりますね。

これ位流れてるところなら1815-Oで代替できそうです…

抵抗を交換しないでトランジスタだけ差し替えると、fTが周波数の10倍に満たない状態となって、少し局発出力が足りなくなりそうです。(この局発の周波数は、Fバンド選択時最高で34MHzあたりになります)

QR-666の4:2SC460の交換(軽すぎるメーター再調整前の作業)

今回の帰省ではあんまりいじらなかったQR-666ですが、いじる前段階として2SC460(B)を2SC1675Lと交換しました。

マーカーオプション無しのQR-666では局発のバッファとFバンド第2局発の水晶発振のところに使われています。

買い置きの2SC1675Lに交換しましたが、局発バッファの方がhFE=53前後、Fバンドの発振回路のは73前後と後者は劣化が少なかったです。

この個体はメーター周りの調整で、振れ方の倍率を決めるアンプの調整がかなりハイゲイン、メーターがかなり軽いです。次回もう少し落ち着かせます。また局発バッファを変えたのでトラッキングも再調整の予定です。

もう少し詳しく書くと、S9のレベルは適正なのですが、針の振れを決めるアンプのゲインが大きめになっていて、信号を+10dBするとメーターが+20dB以上振れます。信号を弱くしたときも同じ様にがっつり下がります。

STBYスイッチ

回路図と配線を見比べてないのですが、どうもSTBYスイッチがバイパスされてそうです。接触不良になるとトラブルの元なのでこのままにするかなあ、どうしよ?

追記:2SC460

前に交換した460Bの画像と見比べたのですが、外した460、やはりどう見てもこれはAランクですね。手元にある回路図だと460Bが使われていたはずなので、これは誰かが入手できる460Aに替えたのか、それとも元々460Aが使われていた時期があったのか?

460AはhFE:35-70、460Bだと60-120です。なので、発振回路の方のは、そんなに劣化してなかったことになりますね。でも元の設計値にhFEが近いのに替えます。

そういやルネサスからNECも日立も出資引き上げる(株売却)というニュースを見たような気がします。460とか1675の頃の日本の半導体は元気でしたが、まさか他社とくっついて、また離れるとか想像もできなかったなあ、当時。

QR-666の3:歪みっぽいが・・・

RFのバイアスを調整。音楽プログラムを鳴らして低音で歪みが目立たないレベルに調整。

メーターがかなり振れているのでSメーターアンプ(AGCアンプを兼ねる)のレベル調整半固定抵抗を回すが振れが全く変化せず。どうやら経年変化で昔の調整位置以外はボロボロの様子。

代替できる半固定抵抗が手元にないので、今回の調整はここでおわり。次回は多分2SC460Bの差し替えとこのメーターの問題の対策になると思います。

QR-666の2:音が小さい原因を探す

前のオーナーから、音が小さいとは聞いていたのですが、実際、R-300の9時手前くらいの音量にするのにボリュームを12時くらいまで回す必要がありました。

まずはAF/PS基板をチェックしましたが、クラックっぽく見えた箇所を再半田したりしても改善無し。IF基板も見ましたがこれもクラックっぽいところを少し直して変化なし。

ただ、ボリュームを上げると一応クリップするのでアンプ部が問題ではない気はしました。念のためR-300のAF/PSと差し替えてみても同じです。R-300なら両方まとも、QR-666なら両方とも音が小さい。

何か出力に抵抗が入ってそうな感じです。回路図を見るとヘッドホン端子で、ヘッドホンを挿したときに抵抗で少しパワーを落としてやるようになってるのですが、何か怪しい。

ケースの上下を外してヘッドホン端子を見ると次の通り。

組み立てた方はなぜかスピーカーはホットとグラウンドを赤と緑で配線、AF/PSからの出力は黒…です。スイッチ付きジャックは、画像の上がtipで、左右に2つずつ縦並びしているのがスイッチ付き接点。片方はringで、片方は単純スイッチのはずです。見えづらいのですが赤の線の下の抵抗は赤の下の別端子=赤がついている端子とはスイッチでオンになる端子のはずです。黒の方は画像だと抵抗と同じ端子にはんだ付けされています。黒の方は端子の保護のゴムをカットしてむき出した形跡がありますね。

この配線だとスピーカーに行く信号は、黒ワイヤ→抵抗→スピーカー(ホット)と信号がながれるので、アンプ出力は常に抵抗を通ります。

正解の配線がよく分からない(汗)、というのは、右側と左側のどちらがring端子なのかわからない。

穴から覗き込んでスイッチ舌片が左側に見えたので、左側がスイッチと推定し、黒の線を赤の線の下の抵抗と同じ端子にうつし、プラグを挿さないときは抵抗を通らないように修正。

無事に音量が出ましたが、改めて聞くと…あ、RFのバイアス、少しサチってるので直さねば。

やや歪みっぽく、更に少しクリップ。今夜は再調整の気力がないので調整はまた今度。

それからBFOが少しおかしかったのでバリコンの入り具合を直し、周波数を調整。これでUSB/LSB両方いけるようになりました。

追記 2023/8/8

BFOの件。R-300と同じく、LSB方向に回しきったときにバリコンの羽が全部入るようにする必要があります。届いた個体ではセンターで全部入るか全部抜けるかでしたが、その状態で発振停止?していました。

360度回転するので、これだとどちらに回してもUSBのみ(或いはLSBのみ)になります。確かセンターで羽が全抜けになっていたのかな。7Sで国内がちょぼちょぼ聞こえる状態でBFOを回してもいっこうにまともに聞こえない。

ケース開けたらセンターで全抜けでしたので、ノブを9時で羽全入りになるように直し、センターに回し(羽半分入る)ます。IF段の入力に455kHzを入れてゼロビートにするのが良いと思いますが、この時はtinySAの簡易SGをアンテナから入れてゼロビートを取った記憶。

追記の2:アンプからの出力を逆にしたのはひょっとして

入手するまで気づかなかったのですが、QR-666には外部スピーカー端子がないんですね。

なのでひょっとして、画像に示した配線は、ヘットホン端子からスピーカーアウトするための変更?

QR-666の1:やってきたQR-666

R-300より聞きやすい音がするという話で一度触ってみたいと思っていたQR-666、先日入手しておりました。この帰省ではそちらをいじる予定で、マーカーの部品集めをしてあったのですが、FRG-7700にかかりっきりに。

届いたブツは綺麗だった

出品した方がかなり丁寧に清掃して下さり、何でも若い頃に入手した数台の内の1台だとか…

正直、うちの子のR-300より相当に綺麗でした。

ケミコンは全部交換済みとの話、今回は動作確認だけして、中身はまだ見てないです。2SC460Bは未交換と聞いてます。

なので電源を入れて動作状態だけ確認してきました。

症状は…

まず聞いていた話で、Fバンドの感度が悪い、オーディオが少し出力が低いとのこと。

SメーターはうちのR-300より良く調整されていて大きな音で逆ブレすることも無し。

ただ音量がかなり低くAGCがかからない固定ゲインの中間周波増幅に何か問題がありそうです。

また帯域をナローにすると信号レベルが20dB位落ちます。ナローへの切替はIF最終段のアンプのエミッタに入っているフィルターをコンデンサでバイパスすればワイド、しなければナロー、という回路なのですが、どうもこのフィルターの損失が大きすぎるような感じ。あ、これさっきの不具合と同じ箇所ですね。フィルターは、直列共振のメカフィルの様なのですが、スポンジ固着してるのかも…バラして清掃できるかな?

オプションは組み込まれて居らず、マーカーもFMも無しでした。マーカーはないですがトラッキングでかなりメインダイヤルを合わせ込まれているので、目検討でもスプレッドがあるバンドはなんとかなりそうです。

ケミコンの一部は新しいケミコン、一部は積セラコンに交換されたとのこと。交換箇所は念の為に調べる必要がありそうです。

触れるのは今度は夏休みになります。